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ひと手間Weblog

メカ好き文系が試みたDIYと乗り物のレストアやモディファイの備忘録

レストアなったスズキ ジェンマ125 ― 前編

2021年最初のブログは、ブログ開設のきっかけとなったジェンマ125レストアの備忘録に画像追加、加筆を行い、再編纂版の三部構成として、再アップを行ってみたいと思う。


2018年7月に入手してから、約3か月ほどでレストアをほぼ終えた。夏本番の時期だったので、汗だくになりながらのレストアだったのだけれど、いろいろなアイデアを盛り込めて、とても楽しく行えた。35~36年前に製造されたジェンマは、今のスクーターにないデザインで、お気に入りだ。機械は大事に使うと応えてくれると常日頃から思っていて、これからも大事に乗っていきたいと思うのだ。


 

 

スズキ ジェンマ125落札

ジェンマ125落札後、自宅に運んできてから最初に撮影したカット。ジェンマ125は、シングルシート仕様と2人乗り用のロングシート仕様が販売されていた

以前から興味のあったジェンマ125を2018年7月のはじめにヤフオクで入手した。条件付きエンジン始動の現状車という出品者のコメントもあってか、落札価格は22,000円とそれほど競わずに落とせた。出品者が自分の自宅から近かった、というのも入札を後押しする大きな要素だった。それにしても、落札金額が低く抑えられたのは幸運だった。ジェンマの移送は、業者任せではなく、自分で行った。トランスポーターはないので、100円レンタカーの軽バンを利用した。レンタカー代は、多少の延長を含み、1,600円+ガソリン代で済んでしまった。100円レンタカーは、10分100円から利用できるが、借りる時間の長さによって、割引率が異なるようだ。

 

スズキジェンマ125とは

落札したジェンマ125は、足元のゴムマット、ポジションランプのレンズカバー、ヘルメットホルダーが外されていた。

1982年に製造開始、販売された強制空冷方式の4ストローク単気筒125ccで、原付二種に該当するモデルだ。外観は、イタリア製スクーターのベスパにどことなく似ていることから、日本製ベスパと揶揄されたこともあった。今となっては現代版スクーターにない、レトロを感じさせるデザインが逆に良い。ジェンマ125には、前期型・後期型が存在している。主にブレーキ関係が見直されたようだが、外観はほとんど違いがみられない。自分が入手したものは、製造番号から類推すると恐らく後期型のよう。後期型といっても今から35~36年前に製造されたスクーターなので、昭和感満載なスタイルだ。

 

レストア開始

1.車体関連

サビのチェックをするために、徹底的に分解してみた。30数年も前のスクーターなので、サビは避けられないようだ。

とりあえず、サビのチェックをするために、分解できるところは徹底的に分解していった。フレームの下側、特にステップボード用のサブフレームには、比較的多くサビが出ていた。エンジン以外に取り付けられているパーツやケーブル類の全てを外していき、サビ落としの行いやすいようにしていく。サビの多い箇所は、ドリル用真鍮製ブラシを利用した。真鍮製なので、サビは落とせても鉄フレームには、それほど影響はないと思う。ドリルに付けた真鍮ブラシの届かない箇所のサビを落としは、主にステンブラシで行うことにした。

サビ落としを念入りに行った後、サビ止めを兼ねてモノタロウの下地用サビ止めスプレーの艶消しグレーで、フレーム全体を塗装してしまった。

これからも長く乗りたかったので、サビの酷い箇所は念入りにサビ転換剤によるサビ止めを行い、サビ止めスプレー、最後に黒のスプレーで塗装しようと思っていた。モノタロウで調達したサビ止めスプレーは、グレーの艶消しを選んだ。本来下地用なのだが、塗り上がった感じがいたく気にいってしまい、サビ止めを兼ねてフレーム全体を塗装してしまった。 画像ではサイドスタンドとリアステップのステーが黒色だが、改めてサビ止め塗料で塗装してしまった。艶消しグレーにしたところで、表に出る箇所は殆どないのだが、結構お気に入りだ。タンク内にも若干サビが見受けられたが、燃料フィルターが取り付けてあったので、タンク内のサビ落としは今後の課題とした。

2.足回り関連

フロントショックは、案の定スカスカだった。全く踏ん張りが効かないので、走行中にブレーキを掛けると、底付きするのは間違いないだろう。

フロントショック不具合の症状は、スピード減速時にフロントブレーキを掛けると、いきなりサスペンションが底を付き、前につんのめる状態となることだ。それで怖い目にあった人は数多くいるようだ。フロントショックが抜ける不具合は、ジェンマレストアにおける最初の難関のようだ。その不具合のあるフロントショックのオーバーホールを、長年にわたり請け負ってくれる方がいた。自分自身もネットの掲示板で知ったのだが、ジェンマに精通した重鎮の存在は、ジェンマ乗りには有名のようだった。自分も拙宅のジェンマ125に不足していた各種パーツを、その重鎮に融通してもらったことで、レストアを進めることができたのだ。

L型アングルとターンバックルを利用して、フロントショックの分解を試みた。ショック上部の筒を下方に押し下げ、最上部のパーツをモンキーレンチなどで外すと分解できる。

自分が入手したジェンマのフロントショックも、完全に抜けてスカスカだった。そこで、長く乗るためにもオーバーホールが必要と捉え、挑戦してみた。画像のようなL型アングルとターンバックルを利用して、フロントショックの分解を行った。分解してみると、フロントショックの筒の中から、茶色の粉状のものが出てきた。この粉がバンプラバーの成れの果てだろうか。このフロントショックは、本来ならバンプラバーで底付きを抑えるタイプだ。バンプラバーは、材質がウレタン素材(確証はない)で、使用している間に加水分解などで脆くなり、最後には粉になってなくなり、それで底付きを引き起こすようだ。

旋盤でウレタンブッシュをテーパー状に削ろうとしたが、上手く削れなかった。

バンプラバーの代わりになるものを探すと、ジャンク箱の中に、過去に乗っていたJA11型ジムニーの板バネを支えるウレタンブッシュがあった。ウレタンブッシュの中央には穴があいているので、その穴へボルトとナットを通して固定。旋盤でウレタンブッシュを削っていこうとしたのだが、素材が柔らかすぎて全く上手くいかなかった。そこで、ドリルレース*1に切り替え、任意の形からに削っていくことにした。ジェンマのバンプラバーのオリジナル形状は分からないのだが、コイル部分に入れやすいようにテーパー状になるように形を整えている。

オーバーホールの終わったフロントショックを取り付けてみて、サスペンションを縮めてみると、底付きはなく良い感じだ。

フロントショックを組み上げてからテストをすると、底付きは全くしなくなった。ジェンマのフロントショックの構造は、コイルバネとバンプラバーだけのシンプルな組み合わせだ。オイルダンパーだったら、こうはいかなかっただろう。ジェンマ125のサスペンションは、前後共に片持ちだ。ホイールは、ショックアブソーバーの反対側で、ナットで取り付ける構造になっている。試しに前後のホイールを入れ替えてみたら、問題なく装着できた。タイヤの回転方向が逆になってしまうので、残念ながら、前後のローテーションはできない。


リアサスペンションは、スプリングレートが切り替えられるyss製に変えられていた。見た目の状態から、新品に近いようだ。

リアのサスペンションは、前オーナーが新品に交換したようで、まだまだ充分に利用できそうだ。タイヤはDURO製チューブレス 3.50-10を前後共に選択、エアバルブと一緒にアマゾンで調達した。夏本番の時期だったので、汗だくになりながらのタイヤ交換作業となってしまった。それと、モノタロウで調達した、純正品番と互換性のあるブレーキシューに、前後ともに交換を行っている。リアサスペンション下部から出ているホースは、ブローバイガス対策用で、先にフィルターが取り付けられていた。それと、エアクリーナーケースがなかったので、ヤフオクで探すことにした。

ー中編へつづくー

 

*1:ドリルレースとは、削りたい素材をドリルチャックにくわえてドリルを回転させ、ヤスリで削っていく技法