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ひと手間Weblog

メカ好き文系が試みたDIYと乗り物のレストアやモディファイの備忘録

モディファイドNS-1(エンジン編)

原付一種では、主要幹線道路でも制限速度30km/hで走行しなければならないので、恐ろしいことこの上ない。それにこの高回転型エンジンでは、カブる恐れさえある。そこで、エンジンのボアアップをして、原付二種として登録した。こうしてNS-1は、無事公道デビューがかなったのだ。


 

 

リップス製63ccエンジン投入


レースで使用していたリップス製63ccシリンダーとピストン。さすがにメンテナンスが良く行き渡っていた。レースでは特に2ストの場合、走行後にシリンダーヘッドを開け、焼けや当たりを確認するのが通例だ。

ボアアップをしようとヤフオクをみていたら、いろいろなボアアップキットが販売されている。その多くは、排気量68ccのボアアップキットだ。そのカテゴリーの中で、リップス製の63ccボアアップ済エンジン一式とチャンバーが、同一出品者から出品されているのが目にとまった。

オークション終了日に、少しだけ入れ込んで、エンジン一式とチャンバーの2つとも落札。出品者がわりと近くの方だったので、直接引き取りに行くことにした。伺ってみると、そこはまるでオートバイのチューニングショップのようだった。オートバイのチームで借りているらしい。


これから搭載するリップス製ボアアップ済エンジン。これぐらいのエンジンなら、降ろすのは一人でも行えるが、積むのは一人だと工夫が必要だった。エンジンマウントは3箇所ある。そこで、廃棄側を下にしてエンジンを起立させ、リア側に2箇所あるマウントの下側にボルトを通すことを試み成功。そこを支点にエンジンを持ち上げ、フロント側のマウントにボルトを通す、というアクロバットで乗り越えた。最後にリア側上部のマウントにボルトを通せば終了だ。

落札したエンジンとチャンバーは、チームの方がレース用に使用していたらしいことがわかった。レース用ということで使用時間は、それほどでもないと思うが、エンジン内部がどんな状態なんだろうか気になるところだ。

エンジン外観は、中古としてはきれいな部類だ。内部はどうか。まず手始めにウォーターポンプの蓋を開けて確認すると、サビもなくきれいだった。オイルポンプ周りも問題なそうだ。シリンダーヘッドを開けてシリンダー周りを確認する。目視では、かじりや当たりもなく問題ないようだ。また、レース使用ということで気になるデトネーションも、シリンダーヘッドやピストン上面には、ほとんど見られなかった。これで、一安心だ。元に戻してエンジンを積むことにした。

 

ボアアップエンジンスワップ


キャブレターを外しているのは、メインジェットなどのジェット類のセッティングを行っているため。街乗り用途なので、エアクリーナーは付けるようにしている。

ボアアップされているエンジン一式を換装するので、元のエンジンを降ろさなければならない。まず、ウォーターポンプ下部にあるナットを緩め、クーラントを抜くことにした。ある程度クーラントが抜けたら、ラジエターキャップを外す。するとクーラントが勢いよく出てきた。ほぼ抜き終わったら、エンジンから冷却用のホース類を外していく。このほか、電装系のケーブル、クラッチワイヤー、オイルポンプのホース類を外し、チェーンを外せばエンジンが降ろせるようになる。エンジンマウント用のロングボルトとナットを外して、エンジンを降ろしていく。このくらいのエンジン重量なら、降ろすのは一人でもなんとかなる。


63ccと排気量アップのエンジンだが、キャブレターは純正サイズのままでも使用可能だ。ただし、キャブレターのセッティングは。メインジェットが#95から#110、スロージェットが#40から#45に変更を行っている。

エンジンはボアアップしているが、街乗り用なので、できるだけ純正のエアクリーナーを使いたい。すると、純正のキャブレター使用が前提となる。サービスマニュアルを見ると、キャブレター形式が、PF72で口径が18Φ、ジェット類の番手は、メインジェットが#95、スロージェットが#40というのが分かった。

メインジェットのセッティングは、濃い番手から行うのが通例だ。番手を薄い方から行うと、エンジンが焼き付く可能性があるからだ。今回は、排気量アップしたエンジンとチャンバーの組み合わせなので、かなり濃い目のセッティングから徐々に薄い番手としていった。メインジェットは、#130から始めて10番手刻みで落としていき、#110に落ち着いた。もう少し絞れるとは思うのだが、エンジンの焼き付きが怖いので、若干濃い目のセッティングとしてある。6000rpmあたりに谷*1が若干あるようだが、まぁ良しとしよう。キャブレターのベストセッティングを出すのは、なかなか難しい。


リップス製チャンバーは、排気音に金属音が混じるのが特徴か。いかにも2ストのチャンバーらしい音質で、はじけるような甲高い音が独特だ。

エンジン換装を終え、キャブレターのセッティングも一段落だ。NS-1は、フロントロアカウルを取り付けた状態でも、タンクカバーを外せば、キャブレターにアクセスできる。それこそ見た目を気にしなければ、ガソリンタンクはシート下にあるので、タンクカバーがなくても走行は可能だ。

2ストのマフラーは、チャンバー膨張部がスリムな形状で、サイレンサーまでのパイプが細くて長いものは、高回転型とされている。装着したチャンバーも、まさに高回転型チャンバーの形状といっていい。このリップス製チャンバーは、金属的な排気音が特徴で、2ストファンには、そそられる音かもしれない。

ーつづくー

*1:エンジン回転がスムーズに上昇しない状態