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ひと手間Weblog

メカ好き文系が試みたDIYと乗り物のレストアやモディファイの備忘録

ヤマハTZR125レストア&モディファイ ― 車体関連編③

苦労しながらも、なんとか順調にレストア&モディファイが進んでいるTZR125。車体関連編の3回目は、小物類を中心にご紹介したいと思う。ちょっとした工夫で作った工具と、あるものを利用してブラッシュアップしたTZR125用パーツのデキ具合は如何に……。


 

 

フロントフォークの工夫

ダイソーで調達したC型クランプを利用して、フロントフォークのキャップボルトを押し込んでいるところ。これでサークリップは簡単に外せる。

中古二輪車を購入したら足回りのオーバーホールは、必ず行うことにしているので、TZR125も例外なく行うことにした。そこで自宅からほど近いYSP(ヤマハスポーツプラザに、パーツの注文に行った。今回はゴム系純正パーツのオイルシールとダストシール各2個を注文、翌々日にはパーツを受け取りに行ってきた。

ヤマハのウェブサイト内には、パーツカタログの部品情報検索が行えるサービスがあるので重宝している。バーツが廃番でなければ、価格表示も行える。さらにサービスマニュアルで分かりづらい箇所は、パーツカタログの展開図を見ることで補えるのだ。

フロントフォークのオイル油面調整用簡易工具。構成は、アルミパイプ、アルミアングル、洗濯ばさみ、耐油ホース、コスメティックシリマーとノギスだ。新たに購入したのは100均のシリマーだけだ。ノギスでパイプの突き出し量を決定するため、こんな単純な構造だが精度は結構高い。

TZR125のフロントフォークのオーバーホールは、原付の多くがそうなのだが少し厄介だ。キャップボルトがネジ式ではなく、サークリップによる固定なのだ。この方式でのフロントフォークの分解は、キャップボルトを押し込みながらサークリップを外す必要がある。この一連の作業を一人のマンパワーだけで行うのは、九分九厘できないのではないだろうか。よほど屈強な体格の持ち主なら話は別かもしれないが、軟弱な僕には歯が立たなかった。

そこで手持ちの工具の中から、C型クランプを利用する方法を思いついた。C型クランプをアッパーブラケットに引っ掛けて、クランプのネジを締め込んでいき、キャップボルトを押し込むのだ。キャップボルトが押し込めたら、サークリップを時計用マイナスドライバーで、こじり出せばよい。

フロントフォークのオーバーホールを終え、ハンドルステムに組み込んで完成。ダストシールが輝きを放っている……と、取り繕ったようなキャプション。実は作業に没頭するあまり、作業中のカットを撮り忘れて1枚もなかったのだ。修理あるある……。

このキャップボルトが外せれば、あとはサービスマニュアル通りに作業を進めればよい。正立式フロントフォークのオーバーホール作業を行った経験が一度でもあれば、メーカーが違っても同じように取り扱えるので、マニュアルで確認しなくても作業が行える。それこそルーチンワークといっていいぐらいだ。

フロントフォークオイルをモノタロウブランドの廃油処理箱に開け、アウターチューブ底にある六角ボルトをインパクトドライバーで取り外せば、インナーとアウターのチューブの分解できる。分解ができたら、パーツクリーナーで内部パーツを洗浄、オイルシールとダストシールを新品に交換して、分解と逆の手順で組み上げればオーバーホールはほぼ終了で、これ以降はフロントフォークのオイル交換と同様の作業だ。

純正のフロントフォークのトップキャップは、前回のタイトルカットにあるようにゴム製だ。今回図ったようにピッタリのパーツが見つかった。メタルラックのパイプ養生用についているプラ製パーツだ。元は白かったが、艶消し黒で塗装を行ってから取り付けた。小物の塗装は、割り箸に両面テープを貼ってパーツを固定すれば、箸を手で持って行えるので塗装むらがでにくくなる。

サービスマニュアルによると、TZR125のフロントフォークのオイルの規定量は238ccとなっている。インナーチューブを縮めた状態では、オイル油面高さは149㎜が規定数値だ。今回はヤマルーブサスペンション&フォークオイル G-10を規定量使用することにした。インナーチューブ内にオイルを250ccほど注入し、インナーチューブを上下に動かしてエア抜きを行い、フロントフォークが倒れないようにして30分ほど放置。自作の簡易油面計を用いて、油面高さを149㎜に調整した。

前回の車体関連編②のタイトルカット、フロントフォークのトップキャップに注目して欲しい。純正のキャップはゴム製だ。今回図ったようにドンピシャのパーツを発見した。メタルラックのパイプの養生用に嵌めてある段付きのパーツがそうだ。コのパーツの段付きの外形と、TZR125フロントフォークのインナーチューブの内径がピッタリ一致したのだ。見た目もゴムキャップよりも良く、耐水性もこちらの方が良さそうだ。まさにトップキャップに打ってつけの代替パーツの発見だった。

 

リザーバータンクの工夫

TZR125入手時、リザーバータンクはエンジン右側横に置いてあるような状態だった。

TZR125入手時は、リザーバータンクはエンジン右側にぶら下がってるような状態で取り付けられていた。本来の位置は、バッテリーの左横なので、すでにレース用に改造されていたのだ。ダウンチューブにきっちりとタイラップで止めてしまうと、点火プラグを外す際にリザーバータンクが邪魔になる。レース用2ストロークマシンは、点火プラグの焼け具合を頻繁に確認する必要があるため、この位置にリザーバータンクがあったのだろう。それと、レース用ということからか、ホースの配管はラジエターとの1本しかなく、オーバーフロー管もなかった。

ホンダビートのディストリビューターと、エアクリーナーボックスを配管するために利用したニップル。15年以上前の製品だ。

このリザーバータンクにオーバーフロー管を設けようとしたのだが、大き目の穴が1つ開けられており、ニップルが利用できそうもなかった。そこでホームセンターへ行き、新たに手頃なサイズで、キャップが大き目のポリ容器を調達してきた。加工は、ポリ容器のキャップ部分に2か所穴を開け、金属製のニップルをそれぞれの穴に取り付けた。このニップルは、15年以上前にビートのディストリビューター加工用に求めたパーツで、確か熱帯魚の水槽用エアホース関連のパーツだったと思う。ホームセンターへ行き、同じような商品があるかを確認してみると、残念ながら見つけることはできなかった。

上下2か所のタイラップ止めでダウンチューブにガッチリと固定ができている。柔軟性のあるポリ容器と、タイラップは相性抜群だ。

こうした金属製挽き物の類は、町工場の衰退で入手難になってきているのだ。鉄道模型を生業ととしている友人がいるが、真鍮挽き物を扱ってくれる業者さんが年々いなくなり、苦労していると嘆いていた。今までは町工場で取り扱ってくれたが、後継者不足の廃業などで発注ができなくなったという。日本国内の大手工場では、鉄道模型の発注量ぐらいでは、受け付けてくれないようなのだ。いきおいマシニングセンターでは単価が高くなるので、こちらもコストに見合わずに注文ができない。今後は3Dプリンターの性能向上などで、対応できるようになるのだろうか。 

一方のニップルに、タップを切ったアルミパイプをねじ込んであるので、ガッチリと固定されており、アルミパイプが外れるようなことはない。

2ヵ所に設けたニップルの片方には、アルミパイプにタップを立てて取り付けてある。こちらはラジエターへとホースで接続するリザーバータンク用だ。もう一方は、オーバーフロー用だ。当初リザーバータンクは、ステーを製作して固定しようと思ったが、既存のネジの箇所を利用すると複雑な形状になるで見合わせることにした。

柔軟性のあるポリ容器は、タイラップと相性も良く、ほぼ完全に固定される。1か所はキャップ付近で上下方向のずれを、もう1か所はポリ容器下方に巻き、左右方向のずれを押さえることにした。いずれもダウンチューブを利用して止めてある。

 

フロントスクリーンの工夫

0.8tのポリカーボネートシートを利用した自作TZR125用オリジナルスクリーン。大径用コンパスカッターで、円弧部分を切り出してある。直線部分はカッターで、一部はハサミを使って保護シートごとカットした。

TZR125入手時に、フルカウル仕様の純正スクリーンが取り付けられていたが、焼けと曇りでそのまま使う気になれなかった。そこでNS-1のスクリーンでも利用した、ポリカーボネートシートでTZR125用のオリジナルスクリーンを自作することにした。

純正スクリーンは上面が丸み帯びた形状で、フルカウルとの繋がりが感じられるものだ。しかし、自作のオリジナルスクリーンは、ヘルメットのシールドと同様な形状にしかならない。ところが純正と違い丸みは帯びないのだが、決してカッコ悪くない。いや、個人的には結構カッコいいとさえ思えるのだ。

ダイソーで調達した手前がオリジナルのコンパスカッター。やはりダイソーで求めたアルミ製スケールと、合体加工して作った大径用コンパスカッター。当初はドリルで穴を開けて半径を決めていたが、製品のように可動式に改造した。穴径が大きいのはご愛嬌……。

TZR125用スクリーンを自作するに当たっては、得意とする現物合わせでは難しく、型紙を起こすことにした。フロントカウリングとにらめっこしながら、スクリーンの形状を決めていく。スクリーン高さの頃合いと円弧の大きさのバランスを取りつつ見極めていく。スクリーン形状が決定したので、起こした型紙からポリカーボネートシートをカットしていく。自作したコンパスカッターで円弧部分をカット。直線部分は定規をあててカッターでカットを行った。小さな丸い部分は、ハサミ仕上げとした。大きな円弧部分はカッター仕上げなので、工業製品のような仕上がり具合だと自負している。ハサミでカットしたら、これほど奇麗な円弧にはならないだろう。

ポリカーボネートシートを利用して自作したTZR125用オリジナルスクリーン。ポリカーボネートシートは、割れる心配がないので安心して使用できる。透明度はかようによい。

利用したポリカーボネートシートは屋内用のものだが、今のところ透明度は言うことがないし、キズも気にならない。ポリカーボネートシートは、余程のことがない限り割れることもない。汚れたりキズが付いたら、型紙があるので再度作り直せば良いだけだ。

屋外用の耐候性のあるポリカーボネートシートの販売店は、残念ながらまだ見つけられてないのだが、現状の屋内用のポリカーボネートシートでも、充分なクオリティで全く問題ないと思う。

ーつづくー