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ひと手間Weblog

メカ好き文系が試みたDIYと乗り物のレストアやモディファイの備忘録

新品⁉ ジェンマ125の純正フェアリング装着

今回ヤフオクで手に入れたものは、昭和60年前後に製造されたジェンマ125用純正フェアリングの新品だ。令和時代を迎え、平成を通り越して30数年前の昭和の製品が、未だに残っていたのが不思議でおとぎ話のようだ。そして蓋を開けてみたら、製品の堅牢な作りから、昭和時代における工業製品の愚直さが伝わってきた……。


 

 

スズキ純正フェアリング入手(元箱入り新品

ヤフオクで落札後に、当時の元箱で届けられた新品未使用というスズキジェンマ125専用純正フェアリング

ほぼ日課となっているヤフオクの徘徊。ジェンマ125のパーツに、めぼしいものはないかとポ~ッと見ていると、未使用新品というジェンマ125用のスズキ純正のフェアリングが出品されていた。スクーターには、風防という方がピンとくるが……そんなことはどうでも良い。目を皿のようにして出品者のコメントを見ると、“老舗の部品問屋さんから譲っていただいた未使用品になります”という。35年も前の品物が、よくぞ残っていた。以前から興味があったパーツだし、カラーもおあつらえ向きにホワイトだ。少し気合をいれて入札することにした。

さすが新品!!  取り扱い説明書が付属してたので、スキャニング後に軽く修正をしてデータを保存しておいた。今となっては貴重な資料になり得るので、お目にかけようと思う。

落札日になり、パソコンで入札するか、それともタブレットにするかなどと気もそぞろだ。ここは少しでもレスポンスの良い、有線LANのパソコンのがいいだろう……と、腹を決め、パソコンの前に陣取る。オークション終了時間が迫ってきた。価格が上昇するにつれ、最後は二人での勝負となった。これは久々のチキンレースになるか……。すると、相手が降参してくれた様子。今度は経過時間のプレッシャーだ。ここで他の誰かがいきなり入札というパターンもあるが、手に汗を握りながら待つこと数分、もう間もなく落札終了時間だ。幾度もリロードするうちにオークション終了。最後のどんでん返しも起こらずに、無事落札となった。裏を返せば人気がなかったということか。それでも助かった。いつかはと思っていたものが、新品というおまけを付けて手に入れることができたのだ。とはいえ、落札価格は送料を含めると、ジェンマ125本体を落札した約半分の価格だった。いやいや、35年も前の未使用新品なのだ。それだけでも悦ばしいではないか……。

今のスクーターにはないデザインテイストのジェンマ125。発売当時のスクーター用フェアリングの装着で、昭和らしさがさらにアップした気がする。鈍足マシンだけど、フェアリングにはSUZUKI SPORTSのロゴを、カッティングマシンで切り出して入れてみた。

出品者からは段ボール箱を梱包用フイルムで、グルグル巻きにした状態で届いた。発売当時の段ボール箱はくたびれてはいるが、とても35年も前のものとは思えない状態だ。保管状態も良かったようで、段ボールからは古臭い匂いやカビ臭さなどは一切なかった。梱包を解いてみた。商品自体にも、通風の良い暗がりにでも置かれていたのか、カビの発生やサビなどもないようだ。製品内容を確認すると、スクリーンの端の一部に小さな複数のヒビ状のものがあったのと、一部のバーツが取扱い説明書と異なっていたぐらいで、35年も経た商品としては、総じてコンディションは良い部類だと思えた。冬もすぐそこだ。本格的な寒さの前に取り付けることにした。

ハンドルの上下4ヵ所のステーで、フェアリングをガッチリと固定する。走行中でもビビリやガタつくことはない。2種類あるL型ステーは、平板の厚さがt4、丸棒の径がΦ10もある。昭和時代の製品は、頑丈に作られている。

フェアリングの装着は、取り扱い説明書があったので、問題なくしかもガッチリと組み上げることができた。よく考えられた設計であると共に、商品自体を構成する部材コストも結構かかっているのではと思えた。フェアリングは、ハンドルの上下をステーで挟み込むようにして取り付ける設計だ。上側はバックミラー基部、下側はt10ボルトの計4ヵ所で共に専用ステーで固定する。バックミラー基部に挟み込むメッキされたステーは、板厚が t4とかなり厚い。その厚手のステーは、プレスマシンでの型抜き、曲げ、さらにメッキも施されている。ステーの工程だけをとっても、昭和時代の工業製品が持つ愚直さがプンプン漂ってくるようだ。

 

新設計スマホホルダーステー

スマホホルダーに新製したステーを取り付けた状態。スマホホルダーを分解し、中側からタップを立てたステーにネジ止め。嵩上げしたステー部には、盗難防止用ロック機構を設けてある。

フェアリングの装着により、既存のスマホホルダーが取り付けられなくなってしまった。フェアリングの黒いインナーに、どうしても干渉してしまうのだ。そこで基本は元のステーのアイディアを継承して、スマホホルダーが以前よりも高い位置になるように形状を見直すことにした。実際にフェアリングを取り付けた状態で、ステーの形状とスマホホルダーの位置の検討を行ってみた。計測によると、ミラー取り付け基部から、高さ方向に約40ミリ上にスマホホルダーが位置すれば、周囲とのクリアランスが保たれることが分かった。おおよそのイメージができたので、製作に取り掛かることにした。

バックミラー基部には、元々18ミリ長のネジが切られていた。それをダイスで25ミリまで延長することにした。ネジ基部をピッチゲージで計測、M10×1.25ピッチのダイスが該当することが分かった。工具は画像のダイスと丸ダイスハンドル、さらにタップなどを含めた中華製のセットだ。ハンドルやホルダーなどの作りは甘いが、タップやダイスの精度はそれほど悪くなく重宝している。

ステーの作成にあたっては、【ジェンマ125の熱中症対策】でご紹介した中華製折り曲げ機と、【天吊り金具をショートカット】でご紹介したチップソーカッターを利用している。いずれも愛用している機械で、アイディアの具現化にはなくてはならない存在だ。ほぼイメージ通りにステーが出来てきたのだが、以前のアイディアを踏襲したため、ロック機構*1の存在が仇となってしまった。飾りナットを締めるには、スパナを斜めに差し込むしかない。これでは締め上げが難しく、ステーを重ねた共締めでは心許なかった。何か妙案はないか……パッと思いついたのが新ステー形状だ。不必要なコ形の反対部分をカットし、ステーの立ち上がり部にロック機構を設けることにした。出来てしまえば、余計な手間を掛けていたという落ちなのだが、まぁこうして新ステーが完成したのである。

万力のアゴが小さいのと、バックミラーのステーがΦ10と太く丸いので固定に苦慮。固定が不安定な素材に対して、ダイスの刃が噛んで台無しにならないように、タフで緊張感のある作業になってしまった。

しかし、新たな問題が出てきた。バックミラーの基部にはネジ部分があるのだが、飾りナットを締め込んだ状態で、12ミリのネジ有効長となっている。左側には、フェアリングステーの厚さ4ミリ、スマホホルダーステーの厚さ3ミリで7ミリが喰われることになる。すると、12ミリのネジ部分は、最大でも5ミリしかネジ止めできなくなるのだ。バックミラーの位置合わせで、5ミリ以下になるのは間違いない。フェアリングの重量を支えるのには、不安になる長さだ。さらに5ミリ以下でしかバックミラーが止まっていないということは、ミラーをぶつけるとアルミ製基部が割れることも考えられる。

新型ステーは、型紙をボール紙で作成して、スマホホルダーの位置、ステーの高さや角度をよく検討してから、中華製折り曲げ機でステーの曲げを行っている。ステーには鉄製フラットバーt3×18ミリ幅を利用。スマホホルダー用ステーを車体に取り付け、スマホが周囲と干渉しないように微妙な位置や角度の調整を行っている。新たに作ったスマホホルダー用のステーは、飾りナットにスパナがガッチリ奥まで掛けられるようになった。

その解決策として色々と考えてみたのだが、なかなか良い案が思いつかなかった。しかしパッと閃いた答えは簡単なものだった。それはダイスを利用した、バックミラーネジ部分の延長である。早速飾りナットを外し、ネジ部分の総有効長を計測してみると18ミリだった。バックミラーは10ミリ径で、ダイスを立てるのにかなり力が必要だ。加えて丸いステーが固定しづらく、それが足を引っ張った。それでもステー2つの厚みで7ミリ喰われるので、+7ミリの25ミリまで何とかネジ部分の延長を行った。右側のバックミラーのネジ部も、約3ミリほどダイスで延長しておいた。これでフェアリングスマホホルダーステーの共締めでも、不安なく固定できるようになった。それともう一つ、左側バックミラーの飾りナットに、スパナがガッチリ掛けられるようになったことが地味に嬉しかった……。

 


今年2月から、ある事がきっかけでブログを始めました。1週間に1度というのんびりとしたペースで書き綴ったことで、何とか年を超えられそうです。そんな老いぼれ新人の駄文にお付き合い下さいまして、ありがとうございました。

少々早いですが、良いお年をお迎えください。

 

*1:本人だけが盗難防止用と思っているが、ほんの気休め程度のものかもしれない