page contents

ひと手間Weblog

メカ好き文系が試みたDIYと乗り物のレストアやモディファイの備忘録

ホンダCBX125Fのレストア完結 ― エンジンコンバート前編

アメリカンタイプのCBX125C用エンジンは、ヤフオクに出品されるのをよく目にするが、CBX125Fのエンジンは殆ど見かけたことがない。しかも、35年前の最初期型の黒塗装エンジンの出品は奇跡的で、それこそ1年に1回あるかないかぐらいだろう。今回落札できた黒塗装エンジンは、クランキング可能だが、ジャンク扱いという。さて、どうなることやら……。


 

 

千載一遇 CBX125F黒塗装エンジン

今回落札できたCBX125Fの黒塗装エンジンは、クランキング確認済みだが、ジャンク扱いのエンジンだ。それでも落札できたのは、ラッキーだった。というのも殆ど出品されないからだ。1年近く前にも黒塗装エンジンが出品されたことがある。入札がないと1週ごとに出品価格を下げていく業者からだ。10,000円ぐらいまで価格が下がったので、それならということで、入札を試みることにした。誰からも入札がないのをいいことに、オークション終了まで10分を切ってから開始価格で入札した。

 

他の用事があったので、席を外してしまった。オークション終了時間も過ぎたので、手続きでも行おうと、オークションにアクセスする。すると、落札できていなかった。開始価格プラス500円で他の落札者の手の元に……。まさかの展開だった。何週にも渡って流れていたので、誰も入札しないだろうと、たかをくくっていたのだ。

 

約1年振りに落札が叶ったエンジンは、残念ながら、外観は塗装の剥げや浮きが見られ、普通なら見合わせそうなものだった。インシュレータも、ゴム部分がなくなっているので使えそうにない。しかし、走行距離は13,500kmと少な目だったのが救いだった。とはいえ、エンジンを取り付けて、セルボタンを押すまでは何も分からないのが現実だ。折角エンジンコンバートしたのに、元のエンジンと同じような結果になったら元も子もなくなってしまうのだが……。

 

コンバートした黒塗装エンジンの始動テス

カムカバーを開けて中をチェックすると、カムチェーンガイドにオイルが若干こびりついてはいるが、概ね良好のようだ。始動テストの準備として、エンジンオイルをスポイトに吸い込み、カムシャフトやロッカーアームなどの可動部に給油を行った。加えて、プラグホールからシリンダー内にも給油しておいた。

 

プラグを外したので、チェックをすると火花がバチバチと飛んでいる。これは幸先が良い。ガソリン給油用の簡易点滴を作り、キャブにガソリンを放り込む。プラグをセットし、メインキーオンにしてセルボタンを押す。キュルキュル・ブボボッと、セル一発でエンジンがあっけなく目覚めてくれた。が、5,000回転ぐらいで回っていた。慌ててアイドルスクリューでエンジン回転を落としていく。アイドルスクリューは、新たに製作した幅広のローレット付きなので、すこぷる具合がよかった。

 

アイドルスクリューの調整後は、1,500回転ぐらいで安定してアイドリングを行っている。セル一発でエンジンが掛かり、アイドリングをするだけで、ちょっと感動してしまった。本来なら至って普通のことなのにだ。それと、メインハーネスを新たに引き直したことや、今まで施してきたことは、間違っていなかったことを再確認することができた。これまでの苦労が報われた瞬間でもあった。

 

新たなトラブル発生 クラッチ固着

しかし、新たな問題が発生してしまった。それは、クラッチが固着して全く切れないのだ。きっと何年も放置していたのだろう。これはやむを得ない。そこで、元のエンジンからクラッチを外し、コンバートエンジンに取り付けることにした。クラッチユニットを分解するためのSST(特殊工具)がなかったので、アストロプロダクツまで調達に出向く。双方のフリクションディスクの厚みを計測すると、ほぼ同じ値だった。固着していたクラッチも、分解をしたら使えそうだったが、今回は見合わせてしまった。スペアパーツとして取っておくことにした。

 

搭載したコンバートエンジンのクラッチ交換は、バイクを寝せて行った。オイル交換をしたばかりなので、抜くのはもったいないからだ。バイクを倒していき、クラッチレバーが動く位置でハンドルのバーエンドを地面にそっと置いた。後部を確認すると、リアのタンデムステップが、丁度プラ製段差プレートに当たっていた。とりあえず、キズを気にしなくても良い状態に置けたようだ。マフラー側は、こうはいかないだろう。ガソリンはカラだけれど、フューエルタンクは外しておけは良かったかもしれない。

 

クラッチ交換でガクブルの元を発見

そしてまた、新たな問題に直面することになる。クランクケースカバーを開けたら、少し削れたチェーンテンショナーが、クランクケース内の底にあったのだ、クランクケース底にあるオイルストレーナーに、プラの削りカスを少量確認。これは奇麗に取り除いておいた。それにしても、クラッチの固着がなければ、クランクケースカバーは、開けることはなかったのだ。チェーンテンショナーを確認すると、全て取り付けてあった。クランクケース内にあった余分なチェーンテンショナーが、クラッチ駆動用のギアなどによく噛まなかったと思う。ひょっとしたら、これが巷でいうヤオフクの闇というやつか……。

 

それと、バッテリー横にあるセル用リレーに設けられている板状ヒューズが経年でかなり脆くなっていた。ヒューズを取り外そうと、ネジを緩めるだけでヒューズが切れてしまうぐらいだ。そこで、中古メインハーネスを入手した際に、付属していた画像のパーツを利用して、新たなヒューズプラグを作ってみた。入手のしやすいヒューズとジャンク箱にあったヒューズホルダー、銅線を利用したものだ。ヒューズホルダーは、元々あったネジに固定しているだけだが、太目の銅線によりがっちりと固定されている。入手できるかどうか分からない板状ヒューズと違い、これならヒューズが切れても安心だろう。

 

CBX125Fのレストア&モディファイ完了

紆余曲折はあったが、見事に復活したCBX125F。外観のモディファイが終わってから、コンバートエンジン搭載まで、およそ5ヵ月も経ってしまった。CBX125F用エンジンは、入手難ゆえやむを得ないことだと思う。それでも観賞用バイクから乗用バイクに格上げされたことが悦ばしい。約1年ぶりにCBX125Fに乗ってみると、結構パワフルなのに驚かされた。以前のエンジンの印象が悪かっただけかもしれないが……。それとも、交換したキタコ製CDIが性能アップに寄与しているのだろうか。

 

それでも、問題点はある。ゴムを金属プレートでサンドイッチしたエンジンマウントがへたっており、左右にカタカタと振れてしまうのに気付いたのだ。思うにインシュレーターのゴム部分の剥離は、これが原因ではないだろうか。エンジンマウントのへたりで、エンジンが想定以上に大きく振動してしまうためのトラブルと思えてならないのだ。本機には予防策として、インシュレーターにラバープロテクトをたっぷりと吹きつけておいた。今のところ大丈夫そうだが、この問題は早急に対策を講じた方が良さそうだ。それと、エンジンの塗装剥げと浮きも気になるので、こちらも近々解決したい。実現した暁には、いずれもブログに掲載できればと思う次第だ。